私は23歳の時に大学を中退しましたが、上記のように現在大学中退者は年間で約5万2千人もいます。
参照:令和4年度 学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査結果
中退する理由は様々ですが、中退について下記のようなイメージを持たれる人は多いんじゃないでしょうか。
- 大学を中退してしまうとクズ、落ちこぼれ扱いされてしまう
- 大学中退=人生終了だ
- 大学を中退する時点で成功者のルートから外れてしまう
- 大学中退者は幸せになれない
実際に私も中退前は上記のイメージを持っていたので、実際に大学を中退する際はかなり葛藤しました。
本記事では大学中退が本当に「クズ」なのかを、実際に中退して現在キャリアアドバイザーをしている私の体験も踏まえ解説します。
目次
【中退者の本音】大学中退はクズなのか?
結論から言うと大学を中退したすべての人がクズと言われるかというとそういうわけではありません。
なぜかというと、私を含め大学を中退して大卒者以上の生活ができている人はたくさんいるからです。
しかし大学中退者の中には中退後に職に就けなかったりで、世間で言われるようないわゆるクズという状態に陥っている人も少なからずいます。
では、こういった人と中退しても一定の成功を収めてる人にはどういった違いがあるのでしょうか。
その答えは、大学を中退した後に取るべき行動を取っているかです。
この行動ができている人は、おそらくほとんど方が大学中退に対して劣等感は感じず、大卒者よりも豊かな生活を送っている人もいます。
中退した後に取るべき行動や考え方については後ほど詳しく解説します。
大学中退がクズ・人生終了と言われる理由
そもそもなぜ大学中退=クズと言われているのかというと下記の理由からです。
- 大学中退のイメージが過剰に悪い
- 大学中退者の方が大卒者よりも就職率が低い
- 大学中退者や高卒の方が大卒者よりも初任給が安い
- 大学中退者の最初の就職先は限られている
ここでは実際の統計データや私の実体験をもとに、大学中退がクズや人生終了と言われる理由について解説します。
大学中退のイメージが過剰に悪い
大学中退がクズと言われる理由の一つとして、大学中退のイメージが過剰に悪いところがあります。
よく中退者に持たれているのは下記のようなイメージです。
- 大学中退者は就職できない。
- 大卒者は出世するけど、中退者は一生出世できない。
- 大学中退者はまともな仕事は任せられない。
- メンタルが弱い。
なぜこういったイメージがついているかというと、昔からの学歴至上主義の考え方が根強く残っているからです。
また、よく中退後に話題になる人たちも、極端な成功者か上記のようなイメージを体現してしまっている人が多いでしょう。
そのため世間のイメージがかなり悪くなっています。
統計上、大学中退者の方が大卒者よりも就職率が低い
大学中退者は大卒者よりも正社員への就職率は低いです。
下記表のように大学卒・大学院卒の就職率は69.1%に対し、大学・大学院中退の就職率は33.9%と約2倍の差があります。
最終学歴 | 離学前 | 離学~3ヶ月以内 | 3年以内 | 3年超 | 時期不明 |
---|---|---|---|---|---|
大卒・大学院卒 | 1.0 | 55.5 | 6.0 | 1.4 | 5.2 |
大学・大学院中退 | 0.9 | 10.4 | 11.8 | 2.7 | 8.1 |
参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大学等中退者の就労と意識に関する研究
また、正社員と非正社員の賃金差は下記のようになっており、一番格差が小さい中卒の人でも5,000万円以上の差があります。
就業形態 | 中卒 | 高卒 | 大学・大学院卒 |
---|---|---|---|
正社員 | 170 | 177 | 237 |
非正社員 | 119 | 115 | 142 |
参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|ユースフル労働統計2022
上記のような統計を見ると正社員就職率が低い中退の人は、その分生涯年収も低いと見られクズといったイメージがついてしまいます。
しかし、中退者の就職率が悪い原因は「学歴」ではありません。
下記記事にて、中退者の就職率が悪い理由とその対策を解説しています。
大卒より高卒)の方が初任給が安いから
生涯賃金に加えて初任給についても中退者の方が安い統計が出ています。
– | 高校卒 | 大学卒 | 大学院卒 |
---|---|---|---|
初任給 | 18.1万 | 22.9万 | 26.8万 |
参照:厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査(新規学卒者)
高卒でも新卒であれば18歳から働くことになり、その分早いタイミングで収入を得られるメリットもありますよね。
しかし、大学中退者は最終学歴が高卒になるだけでなく、就業開始時期がどうしても遅くなってしまいます。
そのため、大学中退者が底辺の立ち位置にいるのではというイメージが付きがちです。
すぐに投げ出すタイプとイメージされてしまうから
大学中退者は「物事を途中で投げ出してしまいそう」というイメージを持たれがちです。
さらに、途中で投げ出してしまう人や継続ができない人は、社会的にかなり下に見られてしまいます。
そのため、大学中退者=クズと言われてしまうのです。
実際の場面でいうと、就活の面接時にこのイメージが悪影響を及ぼすことがあります。
それにより就職ができず、クズ扱いされるといった結果に陥ってしまうでしょう。
親の気持ちを考えてない行動と言われている
大学中退は自分自身だけに影響があるだけではありません。
自分の両親の支えを裏切る行為としてみなされ、クズ扱いされてしまいます。
大学に入るための学費は決して安くありません。
大学種別 | 年間授業料 | 入学費 |
---|---|---|
国立大学 | 535,800円 | 282,000円 |
私立大学 | 930,943円 | 245,951円 |
上記のように学費だけでも、国立で約240万、私立で約400万ほどかかります。
子供を育てながら、上記の費用分のお金を貯めるのは決して簡単ではありません。
しかし、大学を中退するとこれらの親の努力がすべて無駄になってしまうのです。
よって中退は親を裏切る行動としてみなされ、クズ扱いされてしまいます。
「大学中退=クズ」に関するよくある質問
大学中退=クズと言われている中でよく聞かれる質問をまとめました。
私の実体験も含め、それぞれの質問に対しての回答もまとめているので、参考にしてみてください。
実際に体感して分かった大学中退がクズ・人生終了ではない理由
大学中退がクズと言われている理由にて解説したように、中退は世間のイメージはかなり悪いです。
しかし大学を中退した私自身、実際はこのネガティブなイメージと異なる部分は多いと感じました。
そう言える理由は以下の4つです。
- 高卒の人の割合は約40%とかなり多い
- 就職した後の評価に学歴は関係なく成果で見られる
- 社会人を早めに経験しておくことのメリットは大きい
- 大学中退した有名人や著名人は多い
ここでは、上記の理由について私の実体験も含め解説します。
高卒の人の割合は約44%とかなり多い
下記表にも記載されているように、最終学歴が高卒の人の割合は約44%です。
中卒 | 高卒 | 短大・高専卒 | 大学・大学院卒 |
---|---|---|---|
13.1% | 44.2% | 16.2% | 25.5% |
よって最終学歴が高卒の人が日本でもっとも多い層といえるでしょう。
大学中退の場合、最終学歴は高卒となります。
学歴でクズと判断するとなると日本人の半分以上がクズとなってしまいますが、そんな事ないですよね。
中卒や高卒の人でも社会に貢献し、幸福感を感じて生活している人はたくさんいます。
よって大学中退は学歴で言うとそこまでピンチな状況ではありません。
就職した後の評価に学歴は関係なく成果で見られる
よく学歴がないと出世ができないと言われますが、そんなことはありません。
就職した後に出世したり、待遇が良くなるかは学歴は関係なく、その人がもたらした成果によって決まります。
そのため、大学中退者の人でも挽回できるチャンスはいくらでもあります。
私自身、大学中退=クズというイメージが払拭された一番の要因は、この事実を目の当たりにしたからですね。
成果さえ残すことができれば、1年目から大卒者の年収を抜くといったことも可能でしょう。
また、昔に比べると学歴主義的な風習が無くなっているところも事実です。
よく中退した後、どこに就職するかを悩まれる人がいます。
しかし大学中退者の場合は、学歴では勝てないので就職した後に何をするかという考え方を持つべきです。
社会人を早めに経験しておくことのメリットは大きい
大学中退は最終学歴は高卒になりますが、逆を言うと周りの同級生よりも早く社会人を経験できます。
これには大きなメリットがあります。
なぜかというと、就職が大前提になりますが仕事の能力やスキル面でかなり優位に立てるからです。
例えば私の場合、大学では同期にあたる人たちが約10か月後に入社しました。
学歴はもちろん自分より上ですが、年収や能力、周りからの信頼度などはその時点ではすべて自分のほうが上でした。
そのため、中退したからといって同年代に比べて自身はクズかというと、そんなことはありません。
大学中退した有名人は多い
大学を卒業した人だけが成功しているかというとそんなことはありません。
下記のように大学を中退しても大きな功績を残したり、成功している人は数多くいます。
- 堀江貴文|ライブドア代表取締役
- 重田康光|株式会社光通信代表取締役
- 瀬戸健|ライザップグループ株式会社代表取締役
- スティーブジョブズ|アップル創設者
- ビルゲイツ|Microsoft創設者
- マーク・ザッカーバーグ|Facebook創始者
- 本田宗一郎|ホンダ創業者 ※小学校中退
- 松下幸之助|パナソニック創業者 ※小学校中退
今回はあえて著名人を上げていますが、中小企業の代表や役員の人でも最終学歴が中退の人はたくさんいます。
多くの成功者が実際にいるので、大学中退をあまりネガティブに考えないようにしましょう。
【実体験】大学中退者がクズを脱却するために必要な行動と考え方
これまで、大学中退が実際クズではない理由を解説しました。
しかし、中退した人全員がクズではないかというとそうではありません。
当然ですが、大学を中退した後の行動や考え方が重要です。
逆に言うと、中退後にやるべきことを実際にできている人は、世間でいういわゆる「クズ」になることはありません。
また、自分はクズなんだと卑屈になることもないでしょう。
これから大学中退後にどんな行動取るべきか、どんな考え方を持つべきかについて実体験をもとに解説します。
大学中退後は早いタイミングで正社員就職
もし大学中退後に就職を考えているのであれば、中退から就活開始までの期間を空けないことが鉄則です。
その理由は、下記2点にあります。
- 期間が空くと、楽な状態に慣れてしまい就活をしなくなってしまうから
- 期間が空くと、就活の際に企業からのイメージが悪くなるから
人は快適な状態を知ってしまうと、そこからなかなか抜け出せない状態になってしまいます。
よく中退してアルバイトをしようという人が多くいるので、こちらを例に出してみましょう。
アルバイトの快適な状態を一度体感すると、そこから厳しい環境に挑戦するのがより一層辛く感じます。
そのため中退直後から就職して働いた方が、メンタル的な負担も少ないでしょう。
また中退から期間が空くと、企業からは中退から就活開始までの間何をしていたのかをまず間違いなく聞かれます。
正当な理由があれば問題ないですが、面接時の評価が下がる可能性が高いので注意しましょう。
私自身、中退後の就活はたいして頑張ったわけではありません。
ではなぜ簡単に就職できたかというと、中退の翌月に就活できるよう動いていたことが大きな要因です。
安定を求めすぎない
現在キャリアアドバイザーとして多くの中退者の方と面談をしますが、正社員を目指す理由の中で
- 正社員は安定しているから
- 手に職をつけるなら正社員が一番
といったことをよく耳にします。
しかし、正社員=安定という考え方は持つべきではないです。
実際には正社員=自分の市場価値を上げる場だという考え方を持ちましょう。
なぜかというと、中退者が最初に就職する会社は成果を重視する会社が多いからです。
そのため、年齢とともに収入が上がるといった企業はかなり少ないでしょう。
私は中退して6年くらい経ちますが、それでも安定した環境にいるわけではありません。
20代のうちは安定よりも自分の市場価値を高めることを意識しましょう。
収入を増やしたい人は正社員+副業がベスト
大学中退後に自分がどうなりたいかは人それぞれあるでしょう。
その中で収入を多く得たい、増やしたいと思う人は多いかと思います。
その場合、最も確実な方法は正社員+副業で収入を増やすことです。
なぜこの組み合わせを進めるかというと理由は2つあります。
- 正社員という土台があるため副業である程度失敗しても問題ないから
- 正社員と副業で経験したスキルや経験を双方で活かせるから
正社員という土台があるため副業である程度失敗しても問題ない
通常、副業をする際に初めから成功できる人は少ないでしょう。
多くの人が初めは失敗を繰り返して、そこから徐々に成果を上げています。
それに比べて正社員は副業に比べるとある程度収入が安定しています。
そのため正社員という土台があれば副業に挑戦しやすく、トータル的に収入を増やせるのです。
正社員と副業で経験したスキルや経験を双方で活かせる
案件を獲得するタイプの副業の場合、正社員での業務経験は大きな武器です。
例えば、WEB業界で正社員として就職し、その経験を副業で活かすと副業で発揮できるスキルが上がります。
高いスキルを持つ人は、副業をやっていくうちに収入の単価が上がるのでトータルの収入を増やせるでしょう。
また、逆に副業で得た経験やスキルを正社員の転職活動に活かすといったこともできます。
私の場合は、副業でマーケティングの仕事の案件を獲得しながらスキルを上げていきました。
その後元々目指していたマーケティング系の会社への転職を決め、現在はこの組み合わせでトータルの年収も上がっています。
副業はクラウドソーシング系のサイトに多くの案件がありますので、初めはそちらを探してみると良いでしょう。
長期的な目線を持つことが重要
大学中退後は長期的な目線で物事を考えることが重要です。
そうすれば大学を中退しても自分がクズだと思わないでしょう。
なぜ長期的な目線を持つべきかというと、中退者がいわゆる「クズ」の状態が脱却するのにある程度時間がかかるからです。
中退直後は最終学歴が高卒になりますし、社会人経験もないのでこの時点ではよくない状況です。
しかし、例えばそこから就職してある程度の成果を残していけば、学歴関係なく周りから評価されます。
このように大学中退者は仕事の実績などで、評価されることでクズを挽回するしかありません。
これは中退してすぐにできることはないため、長期的な目線を持つことが必要なのです。
まとめ:大学中退は行動次第でクズにはならない
これまでの内容をまとめると、大学中退者は中退後の行動次第でクズになることはありません。
ではなぜ大学中退=クズだと思ってしまう人が多いのでしょうか?
それは、中退後の取るべき行動や持つべき考え方を間違っている、または知らないからです。
私自身も中退直後は絶望感しかありませんでしたが、現在は大学中退による劣等感は全く感じていません。
それはここまで解説してきた行動や考え方を実際に取ったからです。
大学中退は世間のイメージは今もまだ悪いですが、クズになるかは本人の行動次第なのでぜひこの記事を参考にしてみてください。
こんにちは!たくろーです。